10.母と向き合ったことで、母が大きく変わる
姉との関係が変わった次は、母と向き合うことにチャレンジしました。
当時の母は、家族・主に子供に対してですが、相手のの意見を聞かず、自分のルールを一方的に押し付ける、支配欲のある人で、
相手が言う事を聞かないと、ヒステリックに怒りをぶつけてくるタイプでした。
例えば、実家に帰省した際。
私は、お風呂上り、フェイスタオルで身体を拭きたい。
バスタオルは私にとって大きすぎ、使い勝手が悪かったからです。
でも、母のルールは、
「お風呂上りはバスタオル」
です。
フェイスタオルを使おうとする私に、バスタオルを投げつけ、
罵倒してくるのです。
こちらが言い返すと、もっとエキサイトして、手に負えなくなる。
フェイスタオルを使いたいと思う自分が、酷い悪人に思えて、
自分を責め、罪悪感を覚えるようにも、なっていました。
私からすれば、
タオル位、好きなものを使わせて欲しい。
ましてや、フェイスタオルはバスタオルの1/8位のサイズだから、
洗濯も楽になって、メリットしかない。
なんで、フェイスタオルを使わせてくれないんだ。
私の意見が正しいだろう。
それに、タオルごときで、そんなに怒らないで欲しい。
でも、母の気持ちを尊重しない自分が、いけないのだろうか
そんな気持ちでした。
この事態を変える為に、私は、
どうしても受け入れがたいこと以外は、母の言う事に従う
と決めました。
「どうしても受け入れがたいこと」
とは、例えば、
- お腹が満足なのに、更に料理を勧めてくる
- 暑いのに、厚着させようとする
といったようなことです。
自分の意見を脇に置いて、姉の意見に耳を傾けたように、
自分の欲求を手ばなして、母の意見を受け入れれば良いんだ。
そうすれば、問題は起きない
そう考えました。
それは、
自分の心を押し殺して、相手に迎合する
といったものでは無く、
「ああしたい、こうしたくない」
という、
自分の欲求を手ばなす行為でした。
- バスタオルを使えと言うなら、使おう
- 他の物を食べたい時も、母が別の物を食べろと言ったら、それを食べよう
こんな感じで、自分の欲求は手ばなし、
母の言い分の多くを、そのまま受け入れました。
すると、まず、自分自身が楽になりました。
欲求を手ばなすことで、心は軽やかになりました。
欲にしがみつき、それを押し通そうとするほうが、かえって苦しみだと実感したのです。
母の言い分を受け入れることで、
母が安堵した様子を見て、更に心は満たされました。
そして、数ヶ月すると、母も、劇的に変わりました!
まず、表情や態度が、それまでとは大きく変わって、柔和になります。
私に対してだけでなく、他の人に対しても、
自分のルールを押し付けることが激減し、
相手の気持ちに耳を傾けることが、できるようになりました。
バスタオルを押し付けてくることも無くなり、
私は、自由にフェイスタオルを使えるようになり、
それ以降、母との関係は、良好なものになっていきました。
恐らく母は、それまでの人生で、
自分の気持ち・意見を、丸ごと受け入れてもらった経験がなかったのでしょう。
きっと、いつも否定されたり、無下にされたりと、尊重されなかったのだと思います。
だからこそ、必死になって、自分の意見を押し通そう、押し通そうとしたはずです。
そんな母が、初めて私に、気持ちを尊重された。
それで、母の凝り固まった心が、解けていったのではないかと思います。
自分の欲求を手ばなして、相手の言い分を受け入れると、
自分も楽だし、相手も良い方向に変わる
大切なことを、学べた出来事でした。