55.一生分の煩悩が、あふれ出たかのよう
三度
「全てのものは、確固たる実体が無く、変化し続ける状態に過ぎない」
を体感したことで、
「自分という確固たるものがある」という幻想が薄れ、欲が薄れた。
これからは、心穏やかに進んで行く。
そう思ったのも束の間。
三度目の「実体は無い」を体感後、1週間が過ぎた頃、今度は、
一生分の煩悩がまとめて襲い掛かってきたかのように、欲だらけの状態になりました。
- 食欲などの生理的な欲
- 人に認められたい、評価されたい承認欲求
- 恋愛的な、人を愛したい、愛されたいという欲
- 良い人間、正しい人間でありたいという欲
- 出家願望
これらの欲が、一生分まとめて「ドン」と生じたかのような、とんでもなく、狂おしい状態になりました。
この2か月ほど、ジェットコースターのように、劇的に、心が変化し続ける。
さすがに、ヘトヘトに疲れた感じになりました。
「もう、いい加減にしてくれ!休ませてくれ!」
そんな心境になりました。
だからといって、欲が治まる訳ではありません。
食欲などの生理的欲求は、比較的小さく、1ヶ月弱で治まりましたが、
心の欲は、とんでもなく強く、それから何か月も生じ続けました。
あまりのエネルギーの強さに、時には、観察しきれず、巻き込まれてしまうことも、たびたびありました。
人を愛し、愛されたい
まずは、恋愛感情について、説明しましょう。
仏教と出会ったてから10年、恋愛感情を抱くことは無かったです。
多少、「ステキだなあ~」と想うことはあっても、一瞬くらいでした。
だから、もう、「自分は恋愛感情を抱くことは無い」、と思っていたのです。
仏教に出会う頃まで、私は恋愛感情がとても多く生じ、苦しく感じることが多かったので、この10年は、
「恋愛感情が生じないのは、本当に楽で良い」
と思っていました。
ところが、10年ぶりに、狂おしいほど、人を好きになりました。
といっても、相手に魅力を感じたわけではありません。
通常の状態なら、「ステキだな」とも思わなかった相手です。
理性では、
「何らかの理由で、今、欲があふれ出している。
だから、たまたま、近くにいた男性に、恋愛感情という欲が生じただけ」
と、よく理解していました。
ただ、感情は勝手に生じます。
「好きだ」という気持ちと同時に、
「愛されたい」という欲
「愛されない」悲しさ、寂しさ
相手が他の人と仲良くしているのを見た時の嫉妬心、怒り
そんなものも、とんでもなく強く生じました。
この状態が、数ヶ月ど、断続的に続きました。
苦しかったですね。
ある夜、ドライヤーで髪を乾かしていた時、
これらの想いが、とても強く沸き上がってきました。
今まで感じたことが無いほど、
「持ちこたえられるかな、大丈夫かな?」と思うほど、
ドンドンドンドン強くなっていく。
「どんなに強くなっても、全て受け止めるぞ!」と覚悟しました。
そして、感情がMAXまで大きくなった時、
肉体が爆撃を受けたかのような、物凄い衝撃を受けました。
爆撃を受けている間、身体が倒れないよう、足で必死に踏ん張りました。
それほどの衝撃が、身体を襲ったのです。
数十秒位、身体へ衝撃が続き、ようやくそれが治まってくると、次第に心も静まっていました。
以前、抑圧した恐怖心が強くあふれ出た時と、似ていました。
その時よりも、はるかに強い現れ方でしたが。
衝撃が治まった時、
「これで、恋愛感情の元となる欲は、大分、出尽くしただろう」
と感じました。
そして、予想通り、翌日からは、恋愛感情が生じることは、ほとんどなくなりました。