44.五戒を守らずにはいられない

 

道に入る経験をした直後、私の中で、大きな変化が起こりました。

まず、

「五戒」を守らずには、いられなくなった

事です。

 

「五戒」とは、仏教徒が守るべき、最低限かつ最重要な戒律のことです。

・生き物を故意に殺さない
・与えられていないものを盗らない
・淫らな行為をしない(パートナー以外と性行為をしない)
・嘘を言わない
・酒、麻薬類を摂取しない

 

※「与えられていないものを盗らない」とは、例えば、
スーパーに行って、無料に置いてあるビニール袋を、家で使用する為にちょっと余分に頂くとか、
会社のコピー機で、ちょっと私用の物をコピーさせてもらうとか、
そのようなことも、含まれます。

 

「心を成長させるには、瞑想だけすれば良い」

くらい、瞑想だけに重きを置いていた私は、五戒に興味すらありませんでした。

スーパーで余分にビニールを頂くなんて、日常茶飯事。
職場では、ガンガン、私用のコピーをさせてもらっていました。

虫も平気で殺していたし、
保身のためにウソをつくことに、何の抵抗もありませんでした。

体調不良のためにお酒はやめていましたが、健康だったら、お酒も平気で飲んでいたことでしょう。

不倫の経験もありました。

 

でも、「5つのこと」が分かった時、同時に、

「五戒を守らずには、いられない」

状態になったのです。

 

「何で今まで、五戒を無視できたのだ!」

という気持ちでした。

今までの自分を、猛省しました。

 

「5つのこと」が分かった時に、五戒の重要性も、同時に理解したのです。

五戒は、自他の幸せの為に、大変重要な戒めであると。

 

五戒を守ることによって、
自分自身と、他の生物が苦しむことを防ぐ
ことができる。

 

与えられていない物を盗れば、嘘をつけば、人に迷惑がかかる。

また、自分の心にも苦しみが生じる。

 

スーパーのビニールを余分に頂いた時、
職場のコピー機で私用のものをコピーさせて頂いた時、

「見つかるかも、咎められるかも」と不安が生じ、自分の心が苦しみました。

 

ウソをつくと、罪悪感が生じ、やはり、自分の心は苦しみます。

 

五戒を守ることで、自分と他の生物が苦しむことが、防げるのです。

 

また、五戒を守ろうとすると、欲と直面します。

自分がいかに欲に翻弄され、苦しんでいるか、知ることができます。

そして、欲のエネルギーに巻き込まれないよう、忍耐力を養うこともできるのです。

 

「5つのこと」が分かった時に、五戒の重要性に気づき、

その日以来、五戒を守らずにはいられなくなり、正しい生活を送れるようになりました。

 

ただし、うっかり五戒を破ってしまうことは、それ以降もありました。

 

例えば、蚊に血を吸われた時、反射的に手が伸びて蚊を潰してしまったり、

保身のために、反射的に嘘が口から出てしまったり。

 

そのような時は、大きな罪悪感が生じました。

 

そして、「うっかり」が無くなるよう、気づきを保ち、注意深く生活するよう、心がけるようになり、

だんだんと「うっかり」も少なくなっていきました。

 

 

「自分」と「自分以外の生命」という壁

「自分」という実体が無いことが分かると、

「自分」と「他の生命」

といったように、区別していた壁が緩みます。

 

「自分」も「他の生命」も、違いはなくなります。

自分も、他の生命も、「状態」の流れに過ぎず、
関係しあい、依存しあっている。

だから、自分に対してはもちろん、
他の生命の苦しみに繋がることなど、できやしない。

 

「五戒を守らずにはいられくなった」

のは、そのことが、分かったからだと思います。