58.「これは涅槃か?」と思うほどの静寂

 

「一生分の煩悩が、まとめて一気に正面化したかのような状態」

が数ヶ月続き、ひたすら、欲や、それに伴って生じる感情を、観察し続けました。

 

「欲」も、それに伴う「感情」も「思考」も、全ては無常で、生じては滅するもので、実体が無い。

それらに執着したら苦しみが生じる。

 

そのように、観察を続けました。

時に、あまりに強い欲のエネルギーに巻き込まれ、思考が暴走し、あるがまま観察しきれず、苦しむこともありました。

 

そして、欲を一つ一つ手ばなしていって、心が落ち着いてきたら、

「静寂」が訪れました。

 

瞑想中に、強い集中力で、深い深い静寂の状態に入る時がありましたが、
瞑想をしていなくても、24時間、静寂が、続くのです。

思考もほとんど生じません。
刺激に心が動かないのです。

刺激に反応しなければ、当然、感情も生じません。

 

今まで、味わったことが無いほどの静寂。

 

表面化していないだけで、潜在的な欲があることは分かっている。

でも、あまりにも静かなので、

 

「涅槃とは、このような状態なのではないか?」

という想いが生じるほど、通常の心の状態とは違って、ただただ、心は静かでした。

 

1週間、その状態が続きましたが、だんだんと、思考が生じることが増えてきました。

しがみつけば苦しくなる、と分かっていながらも、

「ああ嫌だ、この静寂が終わりそうだ。続いて欲しい。」

と、その静寂を求める気持ちが生じました。

 

そして、2週間が経ったら、通常の状態に戻りました。

 

「静寂が続いて欲しい」

という欲がありましたから、

「心は無常だから、変化するのは当たり前だ」と分かっていながらも、少々残念な気持ちが生じましたね。