54章 一生分の煩悩が、あふれ出たかのよう
三度
「全てのものは、確固たる実体が無く、変化し続ける状態に過ぎない」
を体感したことで、
「自分という確固たるものがある」という幻想が薄れ、欲が薄れた。
これからは、心穏やかに進んで行く。
そう思ったのも束の間。
三度目の「実体は無い」を体感後、1週間が過ぎた頃、今度は、
一生分の煩悩がまとめて襲い掛かってきたかのように、
欲だらけの状態になりました。
・食欲などの生理的な欲
・人に認められたい、評価されたい承認欲求
・恋愛感情的な、人を愛したい、愛されたいという欲
・良い人間、正しい人間でありたいという欲
・出家願望
これらの欲が、一生分まとめて「ドン」と生じたかのような、
とんでもなく、狂おしい状態になりました。
この2か月ほど、ジェットコースターのように、劇的に、心が変化し続けていて、
さすがに、ヘトヘトに疲れた感じになりました。
「もう、いい加減にしてくれ!休ませてくれ!」
そんな心境になりました。
だからといって、欲が治まる訳ではありません。
そして、この日以降、形ある瞑想をすることが、ほぼ不可能になりました。
とても、瞑想できるほどの集中力が保てなかったのです。
食欲などの生理的欲求は、比較的小さく、1ヶ月弱で治まりましたが、
心の欲は、とんでもなく強く、それから何か月も生じ続けました。
あまりのエネルギーの強さに、
時には、観察しきれず、巻き込まれてしまうことも、たびたびありました。
まずは、恋愛感情について、説明しましょう。
仏教と出会ったてから10年、恋愛感情を抱くことは無かったです。
多少、「ステキだなあ~」と想うことはあっても、一瞬くらいでした。
だから、もう、「自分は恋愛感情を抱くことは無い」、と思っていたのです。
仏教に出会う頃まで、私は恋愛感情がとても多く生じ、
苦しく感じることが多かったので、この10年は、
「恋愛感情が生じないのは、本当に楽で良い」
と思っていました。
ところが、10年ぶりに、狂おしいほど、人を好きになりました。
といっても、相手に魅力を感じたわけではありません。
通常の状態なら、「ステキだな」とも思わなかった相手です。
理性では、
「何らかの理由で、今、欲があふれ出している。
だから、たまたま、近くにいた男性に、恋愛感情という欲が生じただけ」
と、よく理解していました。
ただ、感情は勝手に生じます。
「好きだ」という気持ちと同時に、
・「愛されたい」という欲
・「愛されない」悲しさ、寂しさ
・相手が他の人と仲良くしているのを見た時の嫉妬心、怒り
そういった感情も、とんでもなく強く生じました。
この状態が、数ヶ月ど、断続的に続きました。
苦しかったですね。
ある夜、ドライヤーで髪を乾かしていた時、
これらの想いが、とても強く沸き上がってきました。
今まで感じたことが無いほど、
「持ちこたえられるかな、大丈夫かな?」と思うほど、
ドンドンドンドン強くなっていく。
「どんなに強くなっても、全て受け止めるぞ!」と覚悟しました。
そして、感情がMAXまで大きくなった時、
肉体が爆撃を受けたかのような、物凄い衝撃を受けました。
爆撃を受けている間、身体が倒れないよう、足で必死に踏ん張りました。
それほどの衝撃が、身体を襲ったのです。
数十秒位、身体へ衝撃が続き、ようやくそれが治まってくると、次第に心も静まっていました。
以前、抑圧した恐怖心が強くあふれ出た時と、似ていました。
その時よりも、はるかに強い現れ方でしたが。
衝撃が治まった時、
「これで、恋愛感情の元となる欲は、大分、出尽くしただろう」
と感じました。
そして、予想通り。
翌日からは、恋愛感情が生じることは、ほとんどなくなりました。
